マカロン macaron
日本でもおなじみになったフランス菓子のマカロン。バニラやチョコレート、フルーツ味はもちろん、最近ではショウガ、オリーブオイル、スミレなど、フレーバーも多彩。小さくてカラフル、さっくり、ねっちりのコントラストが楽しい、フランス人の大好きなお菓子の一つです。

マカロンは、簡単にいえば、アーモンドと砂糖、卵白が入った焼き菓子。起源はさまざまな説があり、ルネサンス時代にイタリアで生まれ、フランスには16世紀、フランス国王アンリ2世の元に嫁いだカトリーヌ・メディシスによって伝えられたとか、フランスのコメルシーという街では8世紀終わりに修道士がすでにつくっていたとか……。真偽はともあれ、17世紀ころからマカロンは各地に広まりました。クリームをはんだマカロンは、"パリ風"と呼ばれるパリ・バージョンで、地方にはまったく違うマカロンがあるんです。代表的なマカロンを紹介しましょう。


☆ナンシー Macarons de Nancy 

元祖にもっとも近い味といわれているのが、アルザス・ロレーヌ地方ナンシーのお菓子屋さん「Maison des Soeurs Macaronsメゾン・デ・スール・マカロン」のマカロン。ナンシーでは17世紀から修道院でマカロンがつくられていましたが、フランス革命で修道院を追われた修道女2人が、かくまわれていたゴルマン医師の家でマカロンの製造を開始。これが広まって有名となり、「Soeurs Macarons=修道女のマカロン」と呼ばれるようになったそう。表面は大きくひび割れていて、ねっちりとした歯ごたえ。焼いた紙のまま売ってくれます。製法は秘伝です。
Maison des Soeurs Macarons : 21 rue Gambetta, Nancy

サンテミリオン Macarons de Saint Emilion
ボルドーから40kmほど東にあるワインの産地。やはりフランス革命で修道院を離れ、町に住んでいた修道女によって、住民にレシピが伝えられました。上にアーモンドがちりばめられているのが目印。街じゅうにマカロンが売っていますよ。

☆ モンモリヨン Macarons de Montmorillon
フランス東部のポワトゥー・シャラント地方ヴィエンヌ県の町。マカロン製造の記録は17世紀にさかのぼりますが、19世紀になって、「Rannou Metivier ラヌー・メティヴィエ」が初めて商品化。修道女からレシピを伝え聞いていたマリー・ビュジョーさんが、嫁ぎ先のメティヴィエ氏とともに開いた店で、レシピはここも秘伝。紙の上に渦巻き状に絞って焼いてあって、丸くてかわいらしい。食感もやわらかくて、いくつでも食べられそう。
Rannou Metivier: 32, boulevard de Strasbourg, Montmorillon(ポワティエなどにも支店あり)

☆ アミアン Macarons d' Amiens
世界遺産に登録されているノートルダム寺院が建つアミアンのマカロンは、直径4cmくらいの円形。ハチミツとアーモンドオイルを加えているので、しっとりした食感。

☆ サン・ジャン・ドゥ・リュズ Macarons de Saint Jean de Luz
スペインとの国境バスク地方にある大西洋岸の町。この街のマカロンの名が広まったのは、1660年 5月、ルイ14世とスペイン王女マリー・テレーズとの結婚式がこの町で行われたとき。菓子職人のアダム氏が贈呈したお祝いのマカロンに、王妃や王が感激し、1669年、"太陽王御用達のマカロン製造者"に任命したそうです。「Maison Adamメゾン・アダム」は、当時の味を今も守っています。レシピはやはり教えてもらえませんが、砂糖と同量で使用するパート・ダマンド(アーモンド・ペースト)がカギとの話も。外側はさくっと、中はしっとりして、アーモンドの香りが広がります。
Maison Adam : 6 rue Republique, Saint Jean de Luz

☆パリ Macaron parisien
パリのマカロンは、表面がすべすべしているので、別名マカロン・リース(つるっとしたマカロン)。地方のマカロンと違って、卵白を泡立てたメランゲを混ぜ、間にクリームをはさんでいます。20世紀初頭、有名パティスリー「ラデュレ」の当時のオーナーが考案したともいわれています。

Nancy ナンシーのマカロン。1枚の紙で12個のマカロンが焼いてあり、紙を半分に折って箱に入れてくれます。冷蔵庫で1週間くらいの保存が可能。
 
St emillion サンテミリオンの町にはあちこちで売っています(フランの時代の写真ですみません!)
 
Montmorillon モンモリヨンのマカロンは、ナンシーと同様、紙のまま売ってくれます。
 
Basque サン・ジャン・ドゥ・リュズ に近いサン・ジャン・ピエ・ドゥ・ポールのマカロン。やわらかいビスケットみたい。
パリのマカロンと比べると、地方のマカロンは、地味で素朴。でもアーモンドの味わいと香りがストレートに伝わってきて、なんだか懐かしい味! さっくり感が好きな人、ねっちりした生地が好きな人、好みはいろいろでしょうが、機会があればぜひ味わってみてください。

 
プロフィール
三富 千秋 Chiaki Mitomi
フリーライター&コーディネーター。地方紙の新聞記者を経て1999年6月からフランス在住。食分野(パン、パティスリー)を中心に、雑貨関連の原稿執筆、取材&研修コーディネート、見本市アテンドに携わる。
パリのカルチエ(地区)マガジン「pieton」()の編集も担当。
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